相続財産というと多くの方がはじめに考えるのは、預貯金の名義変更と不動産(土地・建物)の名義変更だと思います。
これ以外には、証券や株式、国債、自動車などの他、生命保険金に、遺族年金、死亡退職金、葬祭費の請求など相続を通じて受け取れるものがあります。
預貯金の名義変更
被相続人の名義のままである預貯金は、遺産分割協議がまとまっていない時点で、一部の相続人によって預金を勝手に引き出すことが禁止されています。
このため、被相続人の死亡を銀行などの金融機関が確認すると、預金の払戻しが凍結されます。
もしも、預貯金の保全が心配な場合、早めに銀行に被相続人の死亡を伝えておくと良いでしょう。
なお、凍結された預貯金の払い戻しを受けるための手続きは、遺産分割が行われる前か、行われた後かによって異なります。
不動産の名義変更
相続を原因とする不動産の名義変更についても、遺産分割協議が終わっていないと進める事は出来ません。
不動産の名義を変更しなかったために、トラブルや事件に巻き込まれてしまうケースもありますので、相続不動産の名義変更は速やかに行う必要があります。
※民法により、不動産は時効取得が可能となっています。
そのため、相続した土地や建物が一定期間の間、他人に占有されていると、その他人がどういうつもりで占有していたかにかかわらず、他人の財産となってしまうことがあるのです。また、その人に占有を辞めてもらうにも、きちんとした法的な手続きをとらなければ、自分の土地であっても、反対に訴えられてしまうケースがあります。
不動産の名義変更の大きな流れは以下のとおりです。
- 遺産分割協議書で、相続財産の分割方法を正式に決定する
- 不動産の名義変更(登記)に必要な種類を収集する
- 登記申請書を作成する
- 法務局に申請する
証券・株式の名義変更
株式の名義変更は、被相続人名義の株式が、「上場株式」か「非上場株式」かによって手続きが異なります。
上場株式は、証券取引所を介して取引が行われますので、証券会社と保有している相続した株式を発行した株式会社の両方で、手続をすることになります。
証券会社における名義変更の手続きは、証券会社は顧客ごとに、それぞれ取引口座を開設しておりますので、取引口座の名義変更手続きを行います。
非上場の株式の場合は、それぞれの会社ごとの手続きとなりますので、会社によって手続きが異なります。
発行した株式会社に直接問い合わせをする必要があります。
自動車の名義変更
自動車も相続の対象となりますので、被相続人の所有していた車両(自動車、軽自動車)を相続する場合、名義を変更する必要があります。なお、廃車にする場合や売却をする場合、または第三者に譲渡する場合でも、先に相続の名義変更手続きを行わなければいけません。
相続にともなう車両の名義変更は、相続人の住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所にて行います。
自動車の相続は相続人単独でも共同でも行うことができますが、申請する書類が異なります。